2020S [1巡目]違反要件の基本構造・市場・反競争性
2020-04-23
9k26-63
筋書き
10:25
最初に、Mixlrのアプリでマイク設定が全てキャンセルされてしまっていたので、無音の時間があった。
リカバリ
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10:32
違反行為の私法上の効力(前回の残り)
Q
事例集には言及があったように思いますが(どこかは忘れてしましました)、山口俊夫=大村敦志的な経済的公序論は競争法業界ではどのように受け止められているのでしょうか。もともとはフランス法由来の考え方だと思いますが、EUでの受け止めも気になります。
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10:45
1巡目は、なるべく条文を気にせず、基本的な考え方を身につける。あまりに抽象的だと身につかないので、時々事例にも触れる。
「重要なのは、その本をマスターしようとしないことです。それよりも、ざっと読んで、内容や議論の仕方についてイメージをつかむ方が重要です。細かな話は、だんだんと勉強していけばよいのです。」(道垣内弘人プレップ第2版125〜126頁)
違反要件の基本構造 9k26-30
行為要件・因果関係・弊害要件
弊害の3種
反競争性 → これを基本と考える
優越的地位濫用
不正手段
市場・反競争性・正当化理由
9k29の「(不正手段については省略)」は1行あけるべきでした。
弊害要件の議論では企業結合規制がよく出てくる
弊害要件総論9k31-
反競争性1 9k31-33
東宝/スバル、東宝/新東宝、の定義
反競争性の定義(異論はある)
(この頃は正当化理由を概念として立てるという発想がなかった)
競争変数
価格・品質・数量だけでなく、
個人情報保護の程度
偽ブランド品をつかまされる心配のない小売プラットフォーム
など
Q
独禁法の判断枠組みが、刑法に似ていると思ったのですが、弊害要件とは、刑法で言うところの結果を、より詳しく論じる部分、というようなイメージであっていますか?
様々な言葉が出てきていて、その用語法の確認なのですが、
「反競争性」があったら、「競争の実質的制限」があることになり、「弊害要件」を満たす(もしくは満たし得る)ということなのでしょうか。
shiraishi.icon「正当化理由なく反競争性(競争変数が左右される)があれば弊害=競争の実質的制限がある」がよいです。
shiraishi.icon細かくいうと、反競争性の解釈として、原則論貫徹説(競争変数が左右される)以外に排除効果重視説があるのですが(9k32→9k158)、今はいいです。
shiraishi.icon結果として、9k29の「反競争性」の表になります。
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11:04
市場概念 9k33-39
「複数の供給者が、同一の需要者に対して、商品役務を供給しようとする場」
需要者から見れば、「選べる」
売る競争(ケーキの例)
買う競争(選手Oの例)
独禁法2条4項
この条文で、世界の競争法の「市場」概念を説明できる
この法律において「競争」とは、二以上の事業者が………次に掲げる行為をし、又はすることができる状態をいう。
一 同一の需要者に同種又は類似の商品又は役務を供給すること
二 同一の供給者から同種又は類似の商品又は役務の供給を受けること
供給者・需要者
商品役務
試験では、明らかに有体物なら商品、明らかに無体物なら役務、でいいです。
市場画定 9k39-47
market definition
市場概念の定義は誰もしない
個別の事案でその事案に関係する市場の範囲を画定する作業
検討対象市場 relevant market
検討対象市場となり得る市場は多数ある
そのうち問題となり得るものだけが言及される
市場画定の基本構造
「需要者の範囲の画定」→「供給者の範囲の画定」
行ったり来たり
供給者の範囲の画定
需要者からみて選択肢となる供給者の範囲
「需要の代替性」(「需要者にとっての代替性」)という
https://gyazo.com/072d214ed99dbcbf3ccadbb3f3e1b113
SSNIP/SSNDQは、知らなくても基本は理解できる
需要者の範囲の画定
選択肢となる供給者の範囲が一致する需要者群を見つける
https://gyazo.com/b075a0533c3c06d3bd3b212802254d29
事例
https://gyazo.com/e5da0af0c5c47a7a44572dd74a7dcc85
9k45の図
https://gyazo.com/3e503fb989103359955b6524f1e533ed
Q
市場画定には、先ほどの例でいう有楽町銀座等の「場所」の要素と、映画館等の「商品または役務」の要素とで画定していくということですか?
限りなく狭い地理的範囲(例えば一つの村や番地等)で見れば、2種類程度の供給者しかない状況はままあると思うのですが、どの程度の地理的範囲から独禁法上問題となりうるのでしょうか。それは供給する商品役務によって変わってくるのでしょうか。
需要者に着目することが重要だということでしたが、需要者から見た選択肢の範囲はどのようにして立証されるのでしょうか。人によって範囲はそれぞれだと思うので、気になります(外食するとして、駅チカじゃないと嫌だとか、料理がおいしいならちょっと離れていてもOKだとか)。
shiraishi.icon授業中には触れませんでしたが、人によって範囲が違う、の点は、一つ前のご質問への答えに合流することになると思います。
エコノミスト(IOなどの専門家)の意見が,判決に決定的な影響を与えたという例はあるのでしょうか。
先ほどの条文で事業者という言葉が出てきましたが、これは競争しているのが事業者でないと適用されないという絞りの要件でしょうか?また、ここでいう事業者の概念は消費者法におけるそれと同じものですか?
shiraishi.icon9k81以下をご覧ください。
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11:45
反競争性2
単独行動と協調的行動
9k48の図と9k49の図
区別不要
反競争性の成否判断における具体的考慮要素
反競争性の有無 = 牽制力の無有
どの考慮要素においても、「能力」と「意欲」
以下の考慮要素を統一した図
https://gyazo.com/2a889bb310217563b314e6c772d98c82
内発的牽制力
他の供給者による牽制力
「競争の状況等」
「輸入」
「参入」
「隣接市場からの競争圧力」
鋼矢板・・後出
需要者による牽制力
(「その他」は取り敢えず忘れていいです)
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この次の内容は、次回にまわしました。
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